ビジネス動画では必須のコンテンツ、インタビューを撮ってみよう
ビジネス動画制作において、インタビュー撮影は避けては通れない重要な要素です。顧客の声を伝えたり、社員の生の声を届けたり、経営者の想いを発信したりと、その用途は多岐にわたります。
しかし、通常の商品紹介やサービス説明の動画とは異なり、対人撮影という特性上、気を付けるべきポイントが数多く存在します。本記事では、ビジネス動画におけるインタビュー撮影の実践的な進め方と、そのコツについて詳しく解説していきます。
ビジネス動画と切っても切れない関係、それが「インタビュー撮影」
ビジネス動画制作において、インタビュー撮影は非常に重要な位置を占めています。顧客の声を伝えることで商品やサービスの信頼性を高めたり、社員の生の声を通じて企業文化を表現したり、経営者の想いを直接届けることで企業のビジョンを明確に伝えたりすることができます。
特に、BtoBのビジネスにおいては、顧客の声や社員のインタビューは、商品やサービスの価値を説得力を持って伝えるための重要な要素となります。また、採用活動においても、実際に働く社員の声は、求職者にとって非常に参考になる情報となります。
インタビュー撮影の主な用途としては、以下のようなケースが挙げられます:
1. 顧客インタビュー
- 商品やサービスの利用体験
- 導入後の効果や変化
- 具体的な活用事例
2. 社員インタビュー
- 企業文化の紹介
- 働き方の説明
- キャリアパスの提示
3. 経営者インタビュー
- 企業ビジョンの発信
- 経営方針の説明
- 今後の展開について
これらのインタビューを効果的に活用することで、企業の魅力をより具体的に、説得力を持って伝えることができます。ビジネス動画におけるインタビュー撮影は、単なる情報発信ではなく、企業の価値を高める重要な要素となります。
撮影体制について
ビジネス動画のインタビュー撮影を行う際の基本的な体制について説明します。最低でも2名のスタッフが必要です。1名はインタビュアーとして質問を担当し、もう1名はカメラマンとして撮影を担当します。ただし、予算や人員の都合上、1名で撮影せざるを得ない場合は、カメラを固定して撮影する方法もあります。
理想的な撮影体制
理想的なインタビュー撮影の体制としては、以下のような役割分担をお勧めします:
1. インタビュアー(1名)
- 質問の準備と実施
- インタビュー対象者とのコミュニケーション
- シナリオの進行管理
2. カメラマン(1名)
- メインカメラの操作
- 画角の調整
- フォーカスの管理
3. サブカメラマン(1名)
- 手持ちカメラでの撮影
- B-rollの収録
- 別アングルからの撮影
4. 音声担当(1名)
- マイクのセッティング
- 音声レベルの調整
- 録音の確認
理想的には上記の体制ですが、現実的には、インタビュアーとカメラマン1名体制になることが多いでしょう。
カメラの配置と撮影方法
ビジネス動画のインタビュー撮影におけるカメラの配置については、1台は固定カメラとしてインタビュー全体を撮影し、もう1台は手持ちカメラとして、インタビュー対象者の周りを動きながら撮影することをお勧めします。この方法により、後編集時に使用できるインサート(B-roll)や、画の変化をつけるための素材を十分に確保することができます。
固定カメラの設置位置としては、以下の点に注意が必要です:
1. インタビュー対象者の表情が自然に見える角度
2. 背景が適切に映る位置
3. 照明が効果的に当たる位置
手持ちカメラでの撮影では、以下のような動きを意識すると良いでしょう:
1. インタビュー対象者の表情のアップ
2. 手元の動きや仕草
3. 周囲の環境や状況
また、インタビュー本番の前後には、必ず「雑感」と呼ばれる、インタビュー対象者の普段の様子を撮影しておくことをお勧めします。仕事中の様子や、会議に参加している様子、オフィス内を移動している様子など、自然な日常の一コマを撮影しておくことで、後編集時に説得力のある映像を作ることができます。
撮れ高の考え方
ビジネス動画のインタビュー撮影において、重要な概念として「撮れ高」があります。これは、実際に撮影した映像の総量を指します。必要な動画の尺(時間の長さ)に対して、5〜10倍程度の撮れ高を確保することをお勧めします。例えば、最終的に3分のインタビュー動画を作成する場合、30分程度の撮れ高があれば、編集時に十分な素材を確保することができます。
撮れ高を確保する理由
十分な撮れ高を確保することには、以下のようなメリットがあります:
1. 編集の自由度が高まる
- 最適な発言を選べる
- 効果的な構成が作れる
- 不要な部分をカットできる
2. 予期せぬ展開への対応
- 思わぬ発言があった場合の対応
- 話題が予想外の方向に展開した場合の対応
- 技術的な問題が発生した場合のバックアップ
3. バリエーションの確保
- 異なる切り口での編集が可能
- 複数のバージョンを作成可能
- 別の用途での活用が可能
撮れ高を確保するための具体的な方法
ビジネス動画のインタビュー撮影において、十分な撮れ高を確保するために、以下のような方法を実践することをお勧めします。
1. インタビュー本番の前後に雑談を撮影
- 緊張をほぐすための会話
- 本番では使えないが、編集時に参考になる発言
- 自然な表情や仕草の収録
2. 複数のアングルからの撮影
- 正面からの撮影
- 斜めからの撮影
- クローズアップでの撮影
3. B-rollの十分な収録
- インタビュー対象者の日常の様子
- 関連する業務の様子
- 環境や状況を示す映像
インタビューといえど、シナリオを考えておく
ビジネス動画のインタビュー撮影は、即興的な要素が強いように見えますが、実は事前の準備が非常に重要です。インタビューの内容を想像し、ある程度の動画の「シナリオ」を考えておくことをお勧めします。
シナリオの重要性
インタビュー撮影におけるシナリオを事前に準備することには、以下のようなメリットがあります:
1. インタビューの方向性が明確になる
- 伝えたいメッセージが明確
- 必要な情報が漏れなく収集できる
- 時間配分が適切に管理できる
2. インタビュー対象者の準備ができる
- 事前に考えを整理できる
- 必要な資料を準備できる
- 心理的な準備ができる
3. 撮影スタッフの準備ができる
- 必要な機材の準備
- 撮影場所の選定
- 照明の設定
効果的なシナリオの作り方
ビジネス動画のインタビュー撮影において、効果的なシナリオを作成するために、以下のような手順をお勧めします。
1. 目的の明確化
- このインタビューで何を伝えたいのか
- どのような印象を与えたいのか
- どのような行動を促したいのか
2. キーメッセージの設定
- 最も伝えたい3つのポイント
- それぞれのポイントを裏付ける具体例
- 感情に訴えかける要素
3. 質問の設計
- オープンクエスチョンの活用
- 具体的なエピソードを引き出す質問
- 感情や想いを引き出す質問
シナリオに沿った回答が得られるよう、質問の仕方を工夫することが重要です。例えば、期待した答えが出てこない場合は、「それって、こういうことですか?」というような問いかけをすることで、インタビュー対象者が同じような言い回しを言葉にしてくれることが期待できます。
また、インタビューの流れを自然にするため、質問の順序や、話題の展開の仕方も事前に考えておくと良いでしょう。ただし、インタビュー対象者の発言に柔軟に対応できるよう、シナリオに固執しすぎないことも重要です。
音声の収録を絶対に失敗しない
ビジネス動画のインタビュー撮影において、音声の収録は最も重要な要素の一つです。インタビュー対象者の生の声を録れるのは1回きりと考え、多重のバックアップを用意することをお勧めします。
音声収録の重要性
インタビュー撮影における音声の質は、動画の品質を大きく左右します。以下のような理由から、音声収録には特に注意が必要です。
1. メッセージの伝達
- 言葉の内容が明確に聞き取れる
- 感情やニュアンスが伝わる
- 説得力のある表現が可能
2. 視聴者の集中力
- 聞き取りやすい音声は視聴を継続させる
- 雑音やノイズは視聴者の集中を妨げる
- 音声の質は視聴体験に直結する
3. 編集の自由度
- クリアな音声は編集が容易
- ノイズの除去が容易
- 音声の加工が可能
具体的な対策
インタビュー撮影における音声収録を確実に行うために、以下のような対策を講じることをお勧めします:
1. マイクの選択と設置
- ピンマイクの使用
- マイクの位置の最適化
- マイクのテスト録音
2. 録音環境の整備
- 外部ノイズの遮断
- 反響の防止
- 適切な音量の確保
3. バックアップの確保
- 複数の録音機器の使用
- 異なる形式での録音
- 定期的な録音の確認
具体的には、以下のような対策を講じることをお勧めします:
1. 全てのカメラで音声収録をオンにしておく
2. インタビュー対象者にピンマイクを装着する
3. バックアップとして、ICレコーダーやスマートフォンでも録音しておく
再収録をしても、全く同じ発言が取れることはありません。そのため、音声の収録には特に慎重を期す必要があります。
照明の配慮する
ビジネス動画のインタビュー撮影における照明の重要性は、近年のカメラの性能向上により、以前ほど重視されなくなってきています。しかし、依然として注意が必要な点があります。
特に注意が必要なのは、外光が直接入る場所での撮影です。時間が経つにつれて太陽の角度が変わり、影の位置や強さが変化するため、撮影中に照明環境が大きく変わってしまう可能性があります。そのため、外光が入りにくく、かつ明るい場所での撮影を選ぶことをお勧めします。
必要に応じて、照明機材を持ち込むことも検討してください。カメラの性能が向上したとはいえ、影の問題は完全には解決できません。特に、人物の表情を自然に映すためには、適切な照明環境が重要です。
インタビュー対象者の緊張をほぐす
ビジネス動画のインタビュー撮影において、対象者の緊張をほぐすことは非常に重要です。大抵の人は、カメラを前にすると緊張してしまい、普段通りの発言ができなくなってしまいます。
緊張をほぐすための具体的な方法として、以下のようなアプローチがあります。
- 撮影時間を昼食後など、副交感神経が優位となる時間帯に設定する
- 撮影開始前に、コーヒーやお茶を飲みながら雑談する時間を設ける
- 撮影場所を、インタビュー対象者が普段から慣れ親しんでいる場所にする
これらの工夫により、インタビュー対象者がリラックスした状態で撮影に臨むことができ、より自然な発言を引き出すことができます。
まとめ
ビジネス動画におけるインタビュー撮影は、適切な準備と技術的な配慮が必要な作業です。撮影体制の確保、十分な撮れ高の確保、事前のシナリオ検討、音声収録のバックアップ、照明環境の整備、そしてインタビュー対象者の緊張をほぐす工夫など、様々な要素を考慮する必要があります。
これらの要素を適切に組み合わせることで、説得力のある、質の高いインタビュー動画を作成することができます。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ実践的なインタビュー撮影にチャレンジしてみてください。
インタビュー撮影は、技術的な要素と、対人コミュニケーションの要素が複雑に絡み合った作業です。しかし、適切な準備と配慮を行うことで、誰でも質の高いインタビュー動画を作成することができます。本記事で紹介したポイントを参考に、ぜひ実践的なインタビュー撮影にチャレンジしてみてください。